PiO PARKの植栽
PiO PARKに新しい仲間が加わりました。
「カフェにいるような、より気軽に、落ち着いて滞在できる空間を演出したい」という運営側の思いにより実現に至りました。
あざやかでフレッシュな緑色を見ているだけで心癒されるといった経験はありませんか?人はなぜ、緑を眺めるだけで心がなごみ、元気が出てくるのでしょうか。
緑はおしゃれな空間を演出するだけではなく、心を穏やかにする効果があります。癒し、成長、平和、リラックス、バランスなど。色の効果を意識していなくても、木々の緑に心が安らいだり、森林浴などの癒しの効果を感じたりすることは多いと思います。色彩心理学でも「緑=心を落ち着かせる」という意味があり、例えば非常口のサインなどは逃げる人たちの心を少しでも穏やかにするために選ばれたという実例もあるようです。また、緑はストレス(特に観葉植物は、二酸化炭素を吸収し、酸素を放出する光合成を行いますが、植物が多い環境は、二酸化炭素の濃度を下げ、集中力散漫やストレス過多を抑制する効果が期待できる)や緊張を軽減する効果だけではなく、植物の緑の波長は目への負担が少なく、目の疲れを癒す効果があるそうです。
植物が視界に入ることで、目の疲れや精神疲労、緊張感が低減するとは心にも身体にも良いことだらけですね。
益々、緑について調べてみたいと思いました。
環境心理学という分野では、主にアメリカで1980年代から研究が重ねられ、「自然や植物は心理的な回復環境になる」ということが徐々にあきらかになっているようです。
そのひとつとして、カプラン夫妻の唱える「注意力回復理論」というものあります。
注意力回復理論とは、人間の注意には、仕事や勉強など、作業に集中するときに働く「意図的注意」と、自然の風景をぼーっと眺めるときのように無意識に引き寄せられる「自動的注意」の二つがあり、意図的注意による精神的な疲労は、もうひとつの自動的注意が働くことにより回復する効果があるというものです。つまり、勉強や仕事、現代で言えばスマホやSNSなどで長時間集中を必要とする作業で疲労がたまったときには、目の前の環境から意識を外の広い空間に向け、おだやかに引き付けられるような自然の景色を眺めることで異なる注意の作用が働き、集中による疲労から回復すると言われています。
今まで、ただぼんやりと外を眺めているだけの無駄な時間と思っていたことにも、実は大きな効用があり、心がそれを無意識に求めていたのかもしれません。
忙しく雑踏のなかを行くときも、室内で作業に没頭するときにも、ふと街路樹を眺めたり、窓の外の新緑の鮮やかさに目を向け、リフレッシュする時間を大事にしたいですね。
今回展示している植栽は、大田区内のフラワーショップさんの生花です。大小様々な観葉植物やエアプランツが配置されており、PiO PARKを明るく演出してくれています。
緑色がもらたす様々な効果でPiO PARKでも心地よい滞在時間をお過ごしください。
<参考文献>
羽生和紀, 2008, 「環境心理学 人間と環境の調和のために」(サイエンス社)
<参考サイト>
CHA-DEAU茶堂, 2022, 「新緑の効果ーみどりを眺めるだけで人は回復する!?」, 茶堂ホームページ(2024年7月取得, https://www.chadeau.com/ )